高校生・大学生・社会人向け

生成AIの
倫理と実践ガイド

正しく、安全に、学びのために使う

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生成AI(Generative AI)とは

LLM(大規模言語モデル)を中心としたAIで、大量のテキストからパターンを学び、次に来る言葉を予測して文章を生成します。

ChatGPT、Claude、Gemini、Copilot など。画像(Midjourney)、音声、動画を生成するモデルも含まれます。

  • 生成 — 新しい文章・画像などを作り出す
  • 対話型 — プロンプト(指示文)でやり取りする
  • 汎用 — 特定分野に限定されない(その反面、専門性は保証されない)

仕組みを知っておく理由

AIは「理解している」のではなく、統計的にそれらしい出力を返している — この認識が安全な利用の前提になります。
  • 学習データのカットオフ — 最新情報を知らない。リアルタイムの事実は弱い
  • 確率的生成 — 同じ質問でも回答が変わる。再現性は低い
  • 根拠の不在 — 参考文献を「それらしく」捏造することがある(ハルシネーション)
  • 文脈の限界 — 長い会話や複雑な推論で矛盾が生じやすい
実践:重要な判断・提出物では、AIの出力を一次情報源にしない。

学習・研究での適切な用途

  • 📚概念の整理・要約(必ず原典で確認)
  • ✏️文章構成・アウトラインのたたき台
  • 🔤語彙・表現の推敲(自分の文章をベースに)
  • 💻プログラミングのデバッグ補助(動作確認は自分で)
  • 🌐多言語資料の理解補助(翻訳の正確性は検証)

✅ 支援ツールとして

思考の補助・効率化。最終成果物の責任は自分が持つ

❌ 代替として

レポート執筆・試験答案・研究の核心部分をAIに委ねる

学術的誠実性(Academic Integrity)

  • 剽窃(plagiarism) — 他人(AIを含む)の成果を自分のものとして提出すること
  • 不正行為 — 試験・課題で許可なくAIを使用すること(校則・シラバスで定義)
  • 共著・引用 — AI利用を開示する義務がある場合がある(大学・学会で増加中)
「バレなければ問題ない」は誤りです。学びの過程そのものが評価対象であり、信頼関係の問題でもあります。

提出前に確認:①AI利用可否 ②開示の要否 ③引用・参考文献の形式

開示(Disclosure)と引用の考え方

  • 多くの教育機関で「AIを使った場合はどこで・どの程度使ったか」を記載するよう求められています
  • AIが生成した文章をそのまま使う場合、引用符+出典が必要なケースがある
  • 「ChatGPT に質問した」だけでなく、プロンプトの概要出力の利用方法を書く

開示の例

「本レポートの構成案作成に ChatGPT(2025年5月)を使用。本文・分析・結論は著者が執筆し、引用文献はすべて本人が確認した。」

ハルシネーションと検証

LLMはもっともらしい誤情報を生成する。論文タイトル・著者名・URL・判例・統計数値は特に注意。

  • クロスチェック — 複数の信頼できる情報源で確認
  • 原典主義 — 論文なら DOI / 公式DB、法律なら e-Gov など
  • 逆質問 — 「根拠は?」「出典を教えて」と聞いても、捏造されることがある
  • 自分の専門知識 — 分野に詳しいほど誤りに気づきやすい

バイアスと公平性

  • 学習データに含まれる偏り(性別・人種・文化・時代)が出力に反映される
  • 少数派・非英語圏・最新の社会問題に関する情報が不足・歪曲されやすい
  • 「AIがそう言った」は客観的事実の根拠にならない
対策:多様な視点の資料を読む。AIの回答を「一つの意見」として扱い、批判的に検討する。

プライバシーとデータ取り扱い

入力したテキストは、モデル改善・人間によるレビューに使われる場合があります(サービス・プランにより異なる)。
  • 個人情報(PII) — 氏名、学籍番号、住所、健康情報、第三者の秘密
  • 機密情報 — 未公開の研究データ、企業の内部資料、契約内容
  • オプトアウト — 学習利用の拒否設定があるサービスも(設定を確認)
  • エンタープライズ版 — データが学習に使われないプラン(学校・職場で提供される場合)

原則:入力は公開しても問題ない内容に限定する。

著作権・知的財産

  • 学習データ — 著作物を学習に使うこと自体が各国・各社で議論・訴訟中(法整備は進行中)
  • 生成物の権利 — AI出力の著作権帰属は国・サービス規約で異なる。商用利用は特に注意
  • 類似性リスク — 既存作品に酷似した画像・文章が生成される可能性
  • キャラクター・商標 — 無断利用は侵害になりうる
提出・公開・販売の前に:利用規約所属機関のポリシーを確認する。

ディープフェイクと情報操作

  • AI生成の偽画像・偽音声・偽動画は、なりすまし・詐欺・名誉毀損に悪用される
  • フェイクニュースの大量生成・拡散も現実的なリスク
  • 日本では著作権法・肖像権・各種刑事法など、状況により責任を問われる

❌ 絶対にしてはいけない

他人の顔・声を無断で使う、虚偽情報を意図的に拡散する

✅ 情報リテラシー

出典確認、逆画像検索、複数メディアでの裏取り

セキュリティの基本

  • プロンプトインジェクション — 悪意ある指示が埋め込まれた文書・Webページ経由でAIの動作を操作される攻撃
  • 機密データの入力 — APIキー、パスワード、ソースコード全文を無防備に貼らない
  • プラグイン・拡張機能 — 第三者ツールの権限とデータ送信先を確認
  • 出力の実行 — AIが提案したコード・コマンドを理解せず実行しない

学習に効くプロンプト設計

低い学習効果

「小論文を800字で書いて」

高い学習効果

「私の論点は○○。反対意見を3つ挙げ、それぞれに対する反論の方向性を示して。本文は自分で書く。」

  • 役割・制約・形式を明示する(例:「高校生レベルで」「箇条書き5項目」)
  • ソクラテス式 — 答えではなく質問で考えを深めるよう頼む
  • 反復 — 下書き → 批判 → 修正、を自分で行う

利用前チェックリスト

  1. ポリシー確認 学校・職場・試験のAI利用規定を読んだか
  2. 目的の明確化 「何を自分で学ぶか」が定義されているか
  3. 入力の安全 個人情報・機密情報を含んでいないか
  4. 出力の検証 事実関係を原典で確認したか
  5. 開示・引用 必要な場合、利用を明記したか

まとめ

  • 生成AIは確率的な文章生成器 — 万能な専門家ではない
  • 学術的誠実性開示を守る
  • 出力は必ず検証し、バイアスを意識する
  • 個人情報・機密を入力しない
  • 著作権・ディープフェイクのリスクを理解する
  • AIは思考の補助 — 主体性と責任は自分が持つ

技術の進化に合わせ、ルールも更新されます。最新の方針を確認し続けましょう。

ご清聴ありがとう
ございました

所属機関のAIガイドラインもあわせてご確認ください